トップインタビュー『CUCINA/クチーナ』後編

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トップインタビュー『CUCINA/クチーナ』後編

オーダーメイドキッチンのCUCINA(クチーナ)。

インテリアや使い勝手に合わせてカスタマイズできる反面、打ち合わせも納期も時間がかります。しかし「それを乗り越えて手にしたものは絶対に飽きないし、ずっと使える」と話すのは、同社代表の陣内伸樹社長。

82年前の森本家具装飾店時代から、時代のニーズを汲み取り実直に「腕」を磨いてきました。

※前編のインタビューは、こちらからご覧ください。

1937年創業、森本家具装飾店からCUCINAの歴史がスタート

ーーー前回は、CUCINAの「ものづくりのコンセプト」についてお聞きしました。そもそも前身は、1937年創業の森本家具装飾店だとうかがっています。CUCINAのルーツはそこにあるのかな….と思うのですが、その頃のお話も聞かせていただけますか。

陣内社長
はい。森本家具装飾店は、大阪市西区の北堀江で先々代が始めました。当初は、企業やお店の注文家具をつくっていたんです。

ーーー意外です! 一般家庭用の家具じゃなかったんですね。

陣内社長
ええ。「こんなのが欲しい」「こんなことできないか」という多種多様なオーダーに応えて、何でもつくっていたそうです。そうしているうちに、職人の技術がどんどん磨かれていきました。この技術力が、今のCUCINAの礎になっていることは確かです。

陣内社長
1970年代にはキッチンの造作や、海外製のシステムキッチンの設置などもやってました。そしてミラノ・サローネで海外のキッチンメーカーを見て感動した先代が、「自分たちでもデザイン性の高いキッチンをつくりたい!」と、システムキッチンの製作をスタートしました。1976年のことです。

ーーーちなみに当時の日本のキッチン市場は、どのようなものだったのでしょうか?

陣内社長
インテリアにこだわる一般の方は、まだまだ少なかったと思います。今のように「空間に合わせてキッチンをつくる」という概念がなかった。オーダーキッチンの市場はとても小さかったんです。それでも参入を決めたのは、先代に「キッチンで食住環境をよくしたい」という夢があったからです。

ーーーそこから今の〈CUCINA〉のブランドイメージを確立されるまで、どのようなことをなさってきたんですか?

陣内社長
実はCUCINAは、ブランディングや広告に力を入れているわけじゃないんです。使っていただいたお客さまや、建築家の方、コーディネーターさんが発信してくださる。そういう方を通じてお客さまに浸透し、自然にブランドを感じていただけるようになったのではないでしょうか。

ーーー使った方が、「CUCINAがいいよ」と周りにオススメしたくなるんですね。

飽きずにずっと使える。「いいものはお得なんです」

ーーーとはいえCUCINAのキッチンは、既製品と比べてしまうと高価ですよね。それでも選ばれているのはどうしてでしょうか。

陣内社長
結局のところ「いいものはお得」なんです。もちろん「高い」とか「納期が長い」とか「打ち合わせが多い」とか、いろいろあります。でも、それを乗り越えて手にしたものは絶対に飽きないし、ずっと使える。

住宅もそうだと思うんです。たとえば無垢のフローリングは肌ざわりがよくて、子供もペットもくつろげますよね。無垢だから「傷つきやすい」というリスクはあるけれど、寝転んだ時の質感や匂いはすごく価値がある。それに自分が「いい」と思って選んだなら、愛着が湧いて大切にメンテナンスをします。

キッチンも、自分で選んで価値を感じているから大切にするし、長く使おうと思う。「結局はお得」かな、と思います。

キッチンでインテリアが決まる。「すべての始まりは、キッチンから。」

CUCINA導入事例#398_リノベーションCRAFT

ーーーそういう意味で、自分で「選ぶ」というプロセスは大切なんですね。

陣内社長
そうです。はじめから全てが決められたものより、自分で「なぜこの天板にしたのか」「なぜここに仕切りをつけたのか」というプロセスがわかっていると、いつまでも「よい」と感じる。クラフトさんもそうではないですか?

ーーーはい。クラフトでリノベーションした方にお話をうかがってみると、ご自身で選んだフローリングやドアの一つひとつに愛着を感じていらっしゃる方が多いですね。もちろん、そのひとつにCUCINAのキッチンも。「この天板は一目惚れだったんです」とか「CUCINAのキッチンに合わせて床材を選んでもらいました」なんて、みなさん素敵な笑顔を見せてくれます。

陣内社長
ありがとうございます。キッチンに合わせて収納を造作したり、フローリングや家具を選んだり。「すべての始まりは、キッチンから。」という私たちのコンセプトは、そういうところにあるんです。

「キッチンは家族をつなげてくれます」

ーーーところで陣内社長、ご自宅ではどのように過ごしていらっしゃいますか? 私たちはリノベーション会社なので…気になります。

陣内社長
うちでは家族が集まるところが、いつもキッチンなんです。いつのまにか犬まで寄ってきて、すごく窮屈。「なんでこんなところに密集してるんだ!」ってなるんですが(笑)。

でも家内がキッチンにいることが多いから、子供も私も自然と足が向くんですよね。リビングよりもキッチンやダイニングにいた方が落ち着きます。キッチンは住まいの中心で、みんなが集まりやすい場所です。そんなダイニング・キッチンがあれば、子供も部屋にこもらなくなりますしね。

ーーーお母さんに話しかけにキッチンに行ったら、居心地がよくてそのままくつろいでしまう。キッチンはもはや住まいの中心なんですね。

陣内社長
キッチンにこだわればこだわるほど、家族がつながると思うんです。もちろん、CUCINAのキッチンじゃなくてもいい。でも私たちは、82年の歴史の中で乗り越えてきたことがたくさんあり、できることも増えてきました。造作や家具を通じて、住まいを「トータル」でご提案していきたいと思っています。

取材後記

「キッチンはCUCINAです」といういう方。住まいにうかがうと、ある家はモダンで、ある家はクラシカルで、ある家はナチュラル。でもどのキッチンも、まるでゼロから誂えたように空間にぴたりとフィットしていました。

「CUCINAらしさ」を押し付けるのではなく、「使う人らしさ」を感じさせるキッチン。扉材の仕上げやコーナーの収まりといったディテールには、CUCINAの技術が惜しみなく注ぎ込まれています。

「求められることを、全力でカタチにする」のがCUCINA。たくさんの人から信頼され愛される理由は、ここにあるのだと感じました。

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