トップインタビュー『arflex/アルフレックス』前編 | リノベーションスープ

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トップインタビュー『arflex/アルフレックス』前編

アルフレックス(arflex)保科卓社長

MARENCO(マレンコ)やA・SOFA(エー・ソファ)など、数々の名作家具を世に送り出してきたアルフレックスジャパン。誰もが認めるトップクラスの家具ブランドであり、クラフトのお客さまの中にもたくさんのファンがいらっしゃいます。

イタリア生まれのブランドですが、製作はすべて国内。日本人の体型に合わせて、オリジナルのモデルが生み出されています。そこには「アルフレックスの家具は、メンテナンスをしながら使い続けてほしい」という想いが詰まっていました。

来年には50周年を迎えるアルフレックスジャパン。同社代表の保科卓さんにお話をうかがいました。

空間になじみ、やさしい空気を醸し出す家具

アルフレックス(arflex)
A・SOFA(エー・ソファ)

―――私の個人的な印象なんですが、アルフレックスの家具はどれもシンプルですよね。奇抜なところがまるでないのに、置くだけで空間の空気を大きく変えてくれる。一瞬で主役になってしまう。とても不思議です。

保科社長
ありがとうございます。おっしゃる通りでアルフレックスは、デザイン以上に『長く使ってこそ価値がある家具』という点を売りにしています。ですから奇抜なデザインは求めません。空間になじみ、やさしい空気を醸し出すような家具でありたいと思っています。

それに流行に左右されないため、飽きることもない。メンテナンスを行えば、世代を超えて使っていただけます。僕も幼い頃からアルフレックスの家具を使っているんですが、一緒に暮らすうちにだんだん愛着がわいて、やがて家族のような存在になるんです。

―――買い替えるのではなく、一緒に育っていく家具。それはずっと変わらない、アルフレックスのコンセプトなのでしょうか

保科社長
ええ。でも最近は少し変わってきたかもしれません。今、インテリア業界の競争が非常に激しいですし、ややもすると似ている製品も出てきたりします。奇抜さは意識していませんが、デザイン性には以前よりも注力しています。

とくに最近は、国籍を問わず「これから力を発揮しそうだな」という新進気鋭のデザイナーの方々と一緒に取り組んでいます。日本でも、どちらかと言うと若手デザイナーの方に声をかけさせていただくことが多いかな。

アルフレックスらしい温もりを守りつつ、新鮮なデザインを

BLANCHE(ブランシェ)

―――それは意外です。有名なデザイナーとコラボレーションしているのかと思っていました。

保科社長
そうですか。でもすごく大変なんですよ(笑)。アルフレックスの商品戦略担当者と一緒に、世界中の家具の展示会をまわってデザイナーを探しています。気になったデザイナーには、これまでの作品やスタジオを見せていただいて、「アルフレックスらしい温もりを感じられるか」を見極める。一度決めたデザイナーには長期的に依頼したいので、かなり慎重になります。

アルフレックス(arflex)

―――有名デザイナーとコラボするほうが楽で、注目度も高いような気がします。そうまでしてデザイナーの発掘にこだわるのはどうしてですか?

保科社長
一般的にはそうかもしれません。今はスマホでいくらでも検索できる時代ですし、ライフスタイルも多様化しています。インテリアのトレンドのスピードも速くなっていますね。そんな時代性にあわせてアルフレックスも多少は変わっていく必要がある。それにはデザイナーの新しい風が必要です。

一方で、アルフレックスはベーシックなデザインが中心なので「極端なトレンド性は抑えたい」という気持ちもある。

ご存知のとおり、アルフレックスの家具はロングセラーが多いんです。エー・ソファはおととし30周年、NTチェアも昨年40周年を迎えましたし、マレンコはもうすぐ50周年を迎えます。ですから有名・無名限らず、あたたかい作品をつくるデザイナーにご協力いただいて、アルフレックスの変わらないアトモスフェア(雰囲気)を出し続けられるといいなと。

50年前の家具でもメンテナンスできるように、川崎にメンテナンス工房を

アルフレックス(arflex)
MARENCO(マレンコ)

―――川崎のメンテナンス工房では、長年使われたアルフレックスの家具を預かって、生地の張り替えやウレタンの入れ替えなどをなさっているそうですね。都心から近い場所にメンテナンス工房を設けたのはどうしてですか?

保科社長
これまでメンテナンスは、旭川をはじめ国内の工場に送っていたんですが、配送コストや納期がかかってしまって。そこで2015年に多摩川近くの物流センター内に工房を設け、こちらで対応できるようにしました。

アルフレックスは来年で50周年を迎えますが、『50年前の家具でもメンテナンスできる』ということが特徴なんです。そこで「もっとコストや納期を下げられないか」と仕組みを見直し、物流センター内に工房をつくることに。

100%国産ですので、自社でフルメンテナンスができる。競合他社と比べたとき、それは大きな差別化になると思っています。

―――たしかに純正の素材を使って、アルフレックスの家具を熟知した職人さんがメンテナンスしてくれるのは安心ですよね。「ずっと大切にしたい」という気持ちになります。

保科社長
これまでにも「子供の頃から使っていたソファを修理して、結婚されるときに新居に持って行きたい」という方々がいらっしゃいました。代々アルフレックスの家具を受け継いで行くような文化…とまではいきませんが、そんなことが根付いてきたらうれしいですね。

ソファの端切れを、エコバッグやファーストシューズに

アルフレックス(arflex)

―――家具をずっと使ってほしい。そのために、スムーズにメンテナンスできる体制を整えられたんですね。”モノを大切にする”という意味で共通しているのかもしれませんが、先日、アルフレックスのソファの端切れでつくったエコバッグを拝見しました。ほかにも端切れのレザーでファーストシューズの手づくりキットをつくられたり…。

保科社長
はい。ファブリックもレザーもコンピューターで一番効率よく裁断しているんですが、それでも残ってしまう生地があって…。以前は処理に困っていたんです。でも”価値のある資源”をムダにすることに、ものすごく抵抗がありました。どれも、すごくいい生地ですから。

そんなとき、社員が「エコバッグをつくったらどうでしょう」と。試しにショップオープンのノベルティとして製作して、ご来場の方にプレゼントしたらとても好評で。うれしくて、今度はワインバッグとオリジナルのワインをつくりました。これもまたすごく喜ばれたんですよ。

ただしエコバッグもファーストシューズも、端切れがないとつくれません。みなさんにお譲りできる機会が少ないのは残念ですが…。思った以上の反響があってうれしいですね。エコプロジェクトと称して、こういった活動を続けています。

まとめ

はじめは保科社長の口調や身のこなしから、”都会的で洗練されたビジネスマン”といった印象を受けました。でもインタビューを続けるうちに、笑ったときの表情や、スタッフさんに話しかける様子はおどろくほど屈託がなく、どこまでも自然体であることに気がつきます。保科社長が笑うと、その場があたたかな空気で満されていく。

誇張ではなく、ほんとうに、アルフレックスの家具のような方だと思いました。

〈後半のインタビュー〉では、保科社長の幼少時代、アルフレックスの軌跡、そして住まいに対する想いなど。保科社長ご自身についてもっと詳しくお聞きしてみたいと思います。

「イタリア生まれ、日本育ち」の家具ブランド。シンプルゆえに、洗練されたシルエットと素材感が際立ちます。メンテナンスを繰り返すことで、代々受け継ぐことができる家具に。

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