西別府商店が〈ワイルドフラワー〉にこだわるワケ。後編 | リノベーションスープ

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西別府商店が〈ワイルドフラワー〉にこだわるワケ。後編

青山の裏通りの、小さなビルにたたずむ〈はいいろオオカミ+西別府商店〉。

オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカといった乾燥地域で育つ『ワイルドフラワー』が、ロシアのアンティークにごくごく自然になじんでいます。

「花は、枯れたあとも美しいんです」

独特のアレンジやアート作品によって花の一生を魅せてくれる、オーナーの西別府さんへインタビュー。後編です。

※インタビュー前編はこちらからご覧ください

花が一番美しいのは、死ぬ瞬間。芽吹いて、枯れて、死んだ後も見せていきたい

店内には、西別府さんが心ひかれる花。そんな花とアンティークを組み合わせた作品。これらが似合うのはどんな空間ですか? と聞くと

「…少し退廃的な感じのする場所かもしれない」

と西別府さん。翳りのある空間に〈西別府商店〉の花が、かすかな希望を注ぎ込む。そんなイメージが浮かびました。

ここに置いてある花は、誕生日にプレゼントされるような色鮮やかな花とは違います。いつ朽ち果てるかもわからないけれど、その不安定さゆえに美しい。

西別府さんが見せていきたいのは、”花の一生”なのです。

”人間の意志が入っていない、自然のもの”で何かを表現したいと思って

「この子たちは”死ぬ瞬間”に花開くんです。水につけている時は、閉じている。だけど水から引き出すと、一気に花咲くんです。もっともっと生きようとして。これはワイルドフラワーの特徴です。

一番美しいのは、死ぬ瞬間。それから死んだ後。だから僕は花が芽吹いて、枯れて、土に還るまでを見せていきたい。

西別府さんは、朽ち果てた花や植物をアート作品として残しています。経年で印象が少しずつ変わっていく。その様子もたのしめるように。そんな西別府さんの感性は、どうやって育まれたのでしょうか?

鹿児島で生まれ育ったという西別府さん。まわりを山に囲まれた盆地で、顔をあげれば山と空が視界の大半を占める。空気は澄みきっていて、木の葉がそよぐ音は遠くまで届きそうなほど。もし都会で暮らす人が3日も滞在すれば、どんなストレスも吹き飛んでしまうようなところです。

上京後ファッションを学んだ西別府さんは、スタイリストのアシスタントとして忙しい日々を送っていました。それこそ自然なんかに身を置ける環境ではなかったときに、「ここは自分の居場所じゃない」と感じたそうです。とても本能的に。

人工的なものよりも、”人間の意志が入っていない、自然のもの”で何かを表現したいと思って。それで花の世界にきたんです。どんな気分だったか? …『自分の生まれ育ったところに帰ってきた』っていう感じかな」

最初の8年は、ウェディングが主体の花屋さんで修行していたとか。華やかで、色鮮やかな花たちに囲まれていた西別府さん。

「でも僕の手に合わなくて。扱っている花とは裏腹に、どんどん山のモノにひかれるようになってきた。山の植物って、地形とか風とか、いろんな環境でカタチがかわってくる。そんなあるがままの姿がよかったんです。

それで独立して、今のお店のスタイルに。僕は、好きなことしかできないんですよね。売れるか売れないかなんてことは考えませんでしたよ。『自分が居たい』って思える空間をつくっただけ。〈はいいろオオカミ〉と一緒に」

ここを訪れる人は、花を求めているのではありません。自分が心地よさを感じる”何か”。遠い昔に出会った懐かしい”何か”。心の奥に沈み込んだ感性に訴えかけてくる”何か”を求めてやって来る。

この店で見つける”何か”は、ひとりひとり違います。

花や植物は、人の哀しい気持ちによりそうから

「震災の時に、花が一本も売れない時期がありました。そんなとき、ひとりの中年の男性が来たんです。花なんて興味がなさそうな人なんです。でも『こういうときだからこそ、僕は花を飾ろうと思うんだ』って。

それを聞いて、すごくうれしくて。本当にうれしくて。「続けなきゃ」って思ったんです。花や植物は、人によりそう。哀しい気持ちによりそうから」

【お知らせ】12/9(日)〈西別府商店〉イベント開催@自由ヶ丘モデルルーム

12月9日(日)、クラフトの〈自由ヶ丘モデルルーム〉で西別府さんによる,クリスマスをテーマにしたワークショップを開催します。

使用するのは『ヤドリギ(宿り木)』。ほかの木の枝や幹に寄生して生長する、野趣あふれる木です。ワークショップでは、このヤドリギを使ってスワッグやリースなど、ご自身が好きなものをつくっていただけます。西別府さんと相談しながら決めていきましょう!

ーーイベント概要※募集は締め切りましたーー
日時:12/9(日) 10:00~12:00

◯場所:自由ヶ丘モデルルーム
東京都目黒区自由が丘2-16-27 2F  定員:10名 (締め切らせていただきました)

参加費:6500円 (税込・材料代含む)

応募方法:下記専用メール
ご同行の方がいらっしゃる場合は、その方のお名前もご記入ください。

持ちもの:特にございません(花材・材料・道具はこちらでご用意します)
撮影したい方はカメラをお持ちください。最後にお茶をいただきながらの総評・写真撮影のお時間を設けています。

服装:多少汚れてもよい格好でお越しいただくか、エプロンをお持ちください。
根土の付いた素材などもあり、衣服等に付くと取りづらくなります。

*皆様の様子を撮影し、webで使用させていただくことがあります。
 掲載不可の方は、事前にお申し出ください。
*会場には駐車場のご用意がございません。
 お車でご来場の場合は近隣コインパーキングをご利用ください。

*ご注意*
仕入れの関係がございますので、お申込み後のキャンセルは12/6(木)までといたします。それ以降にキャンセルされた場合は、参加料をお振り込みいただき、後日、西別府さんの製作したリースをお渡しいたします。

〈西別府商店〉は花を、〈はいいろオオカミ〉は日本・ロシアの古道具をとり扱います。花とアンティークがお互いを引き立てる、ふしぎな魅力を持つお店。

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