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東京オリンピックの新エンブレム、市松模様に注目!

東京オリンピックの新エンブレム、市松模様に注目!
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

前回の騒動から9ヶ月。先日ようやく東京オリンピックの新しいエンブレムが決定しました。1万4599点の応募作品から採用されたのは、市松模様。伝統の模様を繊細にアレンジした、ごく日本的なデザインです。

カタチの違う四角が連なり、それぞれ国・文化・思想の違いを表現しているそうです。他国の文化の〈違い〉を認めつつ、おだやかに〈調和〉する。そんなメッセージがうかがえます。

カラーは藍色。派手さはないけれど、ぴりっと引き締まった粋な色合いですね。日本の伝統技術・藍染めからもわかるように、藍色も日本を代表する伝統色。「地味すぎるのでは」「朝顔がよかった」なんて声もあるようですが、控えめな藍色は江戸のすっきりとしたイメージにぴったりだと思います。

とくに最近、日本独自の文化に興味を持つ海外の方が増えてきましたね。そういった方に〈日本の粋〉を感じてもらえそうです。

デザインした野老朝雄さんってどんな人?

東京オリンピックの新エンブレム、市松模様に注目!
NAGOYA JOUHOUTSU

さて、今回のエンブレムをデザインしたのは野老朝雄(ところあさお)さん。ところさんなんて珍しい名前ですね。一体どんな人なのでしょうか。

1969年生まれのアーティストです。デザインだけでなく、美術や建築など多数方面で活躍されています。東京大学工学部の建築学科で、非常勤講師も努めているようです。

ちなみに野老さん、最近では今年3月にグランドオープンした商業施設〈大名古屋ビルジング〉の外装のデザインを手掛けたそう。低層部分のガラスには凹凸があり、まるで風になびく染色生地のように情緒的です。そのガラスに施された、幾何学模様。伝統模様の鱗模様をアレンジしたような、モダンな和の雰囲気が感じられます。

野老さんの事務所のHP〈TOKOLOCOM〉を見ると、日本を感じさせる模様を多数デザインされている様子。このまま着物や手ぬぐいにしてもよさそうなものばかりです。

そんな野老さんの作風を知ると、エンブレムの市松模様に「なるほど」というなずいてしまいます。

そもそも市松模様の伝統ってなに?

東京オリンピックの新エンブレム、市松模様に注目!

せっかくですので、もう少し市松模様について探ってみましょう。

市松模様は日本では江戸時代から親しまれた伝統的な模様です。碁盤のような格子を2色並べたシンプルな柄。江戸中期の歌舞伎役者・佐野川市松の衣装の柄が大流行し、市松模様と呼ばれていたとか。(当時の歌舞伎役者は今でいう芸能人=ファッションリーダー。キムタク着用のジーンズが大ヒットしたようなものですね)

実は私たちの身のまわりには、意外と市松模様があふれています。着物、手ぬぐい、のれんといった和の衣類や小物から、ケーキ、クッキーといったお菓子まで。さらには、ルイ・ヴィトンやイヴサンローランといったハイブランドにも採用されています。市松模様が一気にエレガントなイメージになるから不思議です。

そういう意味でも、今回のエンブレムは、日本的でありながら海外の方にも受け入れやすい。”グローバルデザイン”だと言えるでしょう。

市松模様はモダンな和空間にぴったり 

日本の伝統模様として知られている市松模様。それをインテリアに取り入れると、ちょっと粋な空間に仕上がります。和室に市松模様を取り入れた2つのリノベーション実例をご紹介します。
 

畳の市松模様でモダンな和室に

LDKに隣接するのは、オーソドックスな日本間。リノベーションにより、〈魅せる和室〉に変身させました。

正面の壁には赤い和紙を。あえて前にせり出すように設け、間接照明で照らし、LDKのアイポイントとしました。そして畳は市松模様。縁のない畳をタテヨコ交互に並べています。単色の畳ですが、方向を変えると光の反射が変わり、2色の市松模様模様に見えるのです。棚は宙に浮いているように造作。格子の引き戸を閉めたままでも、室内の様子がうかがえます。

リビングからは色鮮やかな赤と、市松模様を眺めることができ、シンプルモダンなLDKのアクセントに。ただ過ごすのではなく、見てたのしみ、また空間を彩る和室にリノベーション。和室のポテンシャルを最大限に引き出すのに、市松模様の畳が役立っています。

市松模様の天井で粋な和室に

昔から茶室や数寄屋建築に取り入れられてきた、網代天井。杉や檜の薄い板をナナメ、もしくはタテヨコに編んだ天井のことです。市松模様に編んだ市松編みというものまで。市松模様が、日本の暮らしに溶け込んでいたことがうかがえます。

こちらのお住まいは、リノベーションで和室を設けました。周囲に玉砂利を敷き詰めて、独立させた茶室のような趣に。にじり口のように低く下げた入り口から入ると、中の天井はぐっと高く、見上げると葭(ヨシ)と竹の竿縁障子が。そのヨシは、市松模様に並べてモダンな表情をプラスしました。

派手な衣装ではないけれど、見上げた人だけが感じる粋。こういった部分に、日本の住まいの魅力が凝縮されているような気がします。

まとめ

いかがでしょうか。

東京オリンピックの新エンブレムに採用された市松模様。なんとなく親しみやすさを感じるのは、江戸時代から日本で使われてきた模様だからです。さらにいろいろ調べていくうちに、日本の住まいにも深い関わりがあることがわかりました。

さりげなく市松模様を取り入れて、粋でモダンな和室をつくってみてはいがでしょう。ただし、コントラストの強い市松模様だとうるさくなってしまいます。できるだけ控えめで、濃淡の少ない2色を選びましょう。

いろいろな場面で活躍する市松模様。これから2020年にかけて、たくさんの場所で目にすることが増えそうです。

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