床や壁にはこだわったのに、天井となると「うーん。よくわかんないから白でいいかな」という方、けっこう多いようです。
ほんとうにいいんですか？
天井は空間のテイスト、天井高や重厚感を大きく左右します。みなさんが思っているよりも、ずっと大きな影響があるのです。ベッドで目覚めたとき、リビングのソファに寝転がったとき、ちょっと考え事をしているとき。私たちは自分で思っているよりも、天井を眺めている時間が長いと思いませんか？ 天井にこだわってリフォームすると、空間がどれくらい変わるのでしょうか。
これから。天井のリフォームでイメージを大きく変えた５つの実例をご紹介します。
〈天井リフォーム1〉コンクリートの天井でラフさを演出
天井の仕上げ材を剥がしてみると、コンクリートの表面に凹凸や変色がはっきりと現れていて、いい感じの風合い。履きまくって色落ちしたジーンズのような味わいが出てきます。ただし、コンクリートの状態は仕上げ材を剥がしてみないとわかりません。
剥がしてみて「あ〜もう少し変色してたらよかったのに」とか、逆に「劣化しすぎてイメージに合わない」とか。ちょっとドキドキする部分です。
〈あまりにも変色しすぎて薄汚い〉という場合は、コンクリートに直接塗装する方法も。コンクリートの凹凸やペンキの塗りムラが出るように塗れば、コンクリートの魅力が浮き立ちます。
ちょっと枯れたような雰囲気や、ヴィンテージ、ラフなテイストがお好きな方におすすめの天井リフォームです。
〈天井リフォーム2〉薩摩中霧島壁の天井で、心静まる空間に
ぱっと見るとただの天井。派手さはありません。しかし、自然光やライトの光が当たると…！一気にゆたかな表情があらわれます。まるで太平洋の海にぽっかりと浮かんでいるような、ゆったりとした気分になります。
前置きが長くなりました。天井のリフォームで使ったのは、薩摩中霧島壁。勘の言い方ならおわかりかと思いますが、火山噴火物のシラスでできた自然素材です。光が当たるとうっすらと塗りムラが浮かび上がり、なんともおだやかな表情。落ち着いたインテリアの邪魔をせず、かと言って地味すぎることもなく。ただただ心地よさをもたらしてくれる、不思議な素材です。
「子供も大きくなったし、夫婦で静かに過ごしたい」
「素材感を感じるような空間にしたい」
という方におすすめの天井のリフォームです。
〈天井リフォーム3〉木の天井に包まれておだやかな眠りを
寝室なのに？ と言われそうですが、寝室だからこそ。天井に羽目板を貼って重厚感とぬくもりを演出しました。
使用したのはレッドシダー。赤褐色と茶褐色をバランスよく配置し、深みのある表情を演出しました。ベッドに横たわると、木に包まれてるような気分。やがておだやかな眠りが訪れます。朝は目覚めの効果も抜群。うつろな意識のなかに木の質感がやさしく染み入り、寒い朝でもあたたかな気分。奥さまが布団をひっぺがして起こすよりも、10倍ラクに起きられそうです。
木の質感をたっぷりと感じることができる寝室。ただし木をむやみやたらに使うのはNG。山小屋みたいになるから注意してください。木のボリュームや樹種の微妙な使い方によって、モダンになったり、野暮ったくなったり。リフォームで天井に木を貼る場合は、きちんと心得ているデザイナーに依頼しましょう。
〈天井リフォーム4〉葭の天井で茶室のような趣に
すっきりとした和の趣がお好きな方は、天井に葭（よし）を張り、茶室のようにしてみてはいかがでしょうか。
葭は、簾（すだれ）などに使われている自然素材で、夏はとっても涼しげです。正当派の和室はもちろんですが、フローリング敷きのLDKに合わせると、和モダンな雰囲気をたのしむことができます。手軽に天井をリフォームしたい場合は、パネルに葭が貼られた天井材を使用する方法も。職人さんが本物の葭を張るよりも、低コストでスピーディーに仕上がります。
長手方向に流れる葭が、すっきりとした清涼感を演出しています。和のテイストがお好きな方におすすめの天井リフォームです。
〈天井リフォーム番外編〉ワッフルスラブでぐいぐい主張
アヴァンギャルドな空間をお求めの方は、ちょっとめずらしい天井をご紹介します。
なかなかインパクトがあると思いませんか？ もともとの構造が、ワッフルスラブというお菓子のワッフルのような形状をした梁だったため、思いきってそれをドーンと出してみました。迫力が出てます。しかし残念ながら、これは既存がワッフルスラブだったからできたこと。
たまたまワッフルスラブだった方は、ぜひチャレンジしたい天井のリフォームです。
まとめ
いかがでしたか？
たかが天井…と思うかもしれませんが、天井の素材でここまでイメージにバラつきがあります。冒頭でお伝えしたように、私たちは想像している以上に、天井から影響を受けています。たかが天井…とナメてかからず、床や壁と同じくらいこだわってみましょう。
今回ご紹介した天井リフォームの実例は、ほんの一部です。ほかにも、特殊塗装をしたり、漆喰を塗ったり….天井のリフォームにはさまざまな方法があります。ただし、「天井にフローリングを張りたい」というように、まず天井材から決めるのはやめておきましょう。
〈お好きなテイスト〉〈理想のライフスタイル〉からピッタリの天井を探していくのが、正しい天井リフォームです。いろいろ考えた結果、「やっぱり天井はシンプルな白がいい」と決めたなら、きっと満足できるでしょう。
