屋根材の種類と選び方。初心者さんへのやさしい解説 | リノベーションスープ

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屋根材の種類と選び方。初心者さんへのやさしい解説

屋根材の種類と選び方。初心者さんへのやさしい解説

初夏の気持ちのよい風に吹かれ、バルコニーで洗濯物を干していたカヨコさん(仮名)。ふと屋根に目を向け、思わず眉をひそめます。

屋根がなんだか傷んでいる様子。

「もう築20年。そろそろ葺き替えたほうがいいかしら…(お金かかるなぁ。夏の旅行を我慢しなくちゃ)」。ご主人に相談したところ、「うーん。屋根材を変えてみようか」と。

…変える?何に? そこまで教えてくれればいいのに、「ボク忙しいからちょっと調べておいて」だと。しぶしぶネットで調べてみました。すると日本瓦、洋風瓦、コロニアル、スレート、銅板、トタンなどなど…。なんだか種類が多くないですか?

ネットで検索すると、いろんな屋根材がつぎつぎに出てきて、こんがらがってしまいます。しかし、屋根材として多く使われるのは3種類。今回は〈瓦屋根〉〈スレート屋根〉〈ガリバリウム鋼板屋根〉の3種類の屋根を比較してみましょう。

屋根材の種類1〈瓦〉スーパーヘビー級!ただし耐震的に心配

屋根材の種類と選び方。初心者さんへのやさしい解説
新井建設

威風堂々としたたたずまい。美しい瓦屋根は日本の文化です。歴史です。

しかし今、新築で瓦屋根を使うケースはとても少ないそうです。理由は簡単、重いから。

瓦は基礎や柱がしっかりしていないと、地震で揺れやすくなります。揺れで瓦が落ちてくると、まさに凶器。さらに劣化した基礎や柱が瓦の重さに耐えられず、家の倒壊の原因になることも。リフォームで、瓦屋根から軽いスレート屋根に葺き替える例が多いのは、そのこともあってです。

また瓦には、日本瓦とセメント瓦(洋風住宅の屋根に多い)の2種類があります。セメント瓦のほうがやや軽いですが、はっきり言ってどっちも重いです。「どっしりしてカッコいいですな~」なんて言われて瓦はいい気分。しかし支えている壁や柱はたまったもんじゃありません。「冗談じゃないよ」なんて声が聞こえてきそうですね。

瓦屋根のデメリットをきちんと理解したうえで、基礎と柱に強度を持たせて利用するのはいいと思います。太陽の光で瓦がつやつやと黒光りする様子は、とても魅力的ですしね。最近は通常の日本瓦の半分の重さの商品もあるようです。瓦にこだわりたい方は、こういった商品を取り入れてみてはいかがでしょうか。

ただし、カヨコさんは「そもそもうちの外観に合わないかな〜」とのことでした。はやく言ってくださいよ。

〈瓦屋根のメリット・デメリット〉
メリット
・瓦自体は長持する(50~100年持つと言われている)
・断熱性が高い
・強い(ちょっとの衝撃では割れない)
・かっこいい、日本的

デメリット
・重い(=地震で揺れやすい)
・コストがかかる(屋根材3種類のなかではトップ)
・瓦を固定する漆喰はメンテナンスと補修が必要
※ただし、最近では手間がかからない工法もあるそうです

屋根材の種類2〈スレート屋根〉ライト級!軽くて安くて安心

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kmew

ほとんどの家に採用されているのは、こちらのスレート屋根です。カヨコさんのお住まいもこちら。〈コロニアル〉と商品名で呼ばれることもあります。

天然スレートと人工スレートがありますが、基本的に出番が多いのは人工スレートです。セメントと繊維でできた厚さ4.5mmの板。軽いです。商品にもよりますが、瓦屋根の約1/2~1/3ほどの重量。これだけでも、建物への負担がかなり減りますね。最近の新築のほとんどは、こちらの屋根が採用されているのもうなずけます。

そして、コスト。瓦屋根や金属屋根のなかでも一番安いです。さらに施工がしやすく、業者さんも手慣れたもの。施工レベルに差がないため、大手でも地元の工務店でも安心して任せられます。

ただし、強度が低くて割れやすい。極端な話、ある程度経年しているスレート屋根だと、ボールが飛んできただけでパリンといっちゃうことも。またほかの屋根材よりも寿命が短く、定期的なメンテナンスも必要です。

カヨコさんによると
「問題はそこなのよ。できれば軽くて長持ちする屋根材がいいんだけど。これまでと同じスレート屋根でコストを抑えても、すぐに葺き替えなくちゃいけないでしょ?得したのか損したのかわからない」

…はい、次行ってみましょう。

〈スレート屋根のメリット・デメリット〉
メリット
・軽い(=地震で揺れにくい)
・安い(屋根材のなかで一番低コスト)
・業者さんを選びやすい
・色や柄のバリエーションが豊富

デメリット
・メンテナンスが必要(10年ほどで塗装)
・寿命が短い(20~30年程)
・割れやすい
・苔が生えやすい

屋根材の種類3〈金属屋根〉ミニマム級!ムダな重さはなし

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元旦ビューティ工業(株)

金属屋根と言っても、アルミや銅板などさまざまです。なかでも多く採用されているのが、ガリバリウム鋼板。とにかく軽いです。どのくらい軽いかというと、瓦屋根の1/8~1/10ほど。また、先ほど「軽い軽い」と自慢したスレート屋根の1/3。

また耐久性が高く、瓦やスレートほどメンテナンスの必要がありません。しかし、ちょっとだけ雨音が気になることも。あと、潮風が届く海の近くのお住まいは向きません。

コストはどうでしょうか。瓦屋根よりも安いけれど、スレート屋根よりは高い傾向にあります(商品によって金額にバラツキあり)。また、ガリバリウム鋼板そのものに断熱性がないため、断熱工事が必要。そのぶん施工費が高くなります。

スレートよりも施工が難しいため、経験のある板金屋さんに依頼すること大切です。これさえ気をつければ、軽くて長持ちする屋根に葺き替えることができるでしょう。

「うーん。軽そうだけど、トタンみたいじゃない? イヤだわこんなの」(カヨコさん)

…印象は人それぞれですからね。

〈金属屋根のメリット・デメリット〉
メリット
・とにかく軽い(地震で揺れにくい)
・瓦屋根より安い
・耐久性(錆に強い、燃えにくい)

デメリット
・スレート屋根より高い
・雨音が響く
・トタンのように安っぽい印象を持つ人も

屋根材はどれがベスト?耐震性から選んでみると

屋根材の種類と選び方。初心者さんへのやさしい解説
craft 工事のブログ

屋根材を選ぶときは、まず〈何を優先するか〉を決めましょう。

もし耐震性にこだわるなら、ガリバリウム鋼板のような軽い金属屋根がおすすめです。屋根材の軽さ=建物への負担が少ない=耐震性が高い。そう考えて間違いありません。

たとえば、屋根面積30坪のお住まいで比べてみます。瓦屋根だと約6000kg。これは軽自動車スズキのアルト(約610kg)を10台くらい乗せていることになります。「10台! 何かの間違えじゃないでしょうか?」と言いたくなりますね。

ちなみにスレート屋根だと約2000kg。アルトを3台乗せているだけなので、基礎や柱もふんばってくれそうです。まだまだ軽い屋根材をご希望なら、ガリバリウム鋼板がおすすめです。なんとアルト1台分。

実際に最近のリフォームでは、瓦屋根からスレート屋根や金属屋根に変えて軽量化を図る例が少なくありません。「純和風にしたい」「外観に風格がほしい」などという理由がなければ、瓦ではなく、軽くて安くて安全な屋根材を選ぶ方が多いようです。

まとめ

屋根材の3種類を比較してみましたが、いかがでしょうか。

基本的に、屋根材はコスト・価格・メンテナンス性・耐久性・耐震性から選んでいきます。最初に言っておきますが、どれも100点満点の屋根材はありません。耐久性があるけど価格が高かったり、逆にコストは安いけど割れやすかったり。ですので優先順位をつけることが大切です。

ちょっと気をつけたいのが依頼先の業者さんです。瓦屋根だから瓦屋さん、金属屋根だから板金屋さん。このように専門業者に依頼するのはアリですが、選択肢がなくなってしまう可能性も。「金属に変えればよかった」と思っても、後の祭りです。

その点、工務店やリフォーム会社は専門業者はやり方が違います。お住まいの状態やご予算、また完成イメージをうかがいながら、ベストな屋根材を判断します。

ただし最近では、瓦・スレート・金属の全ての屋根材に対応している板金屋さん、瓦屋さんもあります。そういった業者さんは、リフォーム会社と同じようにぴったりの屋根材を提案してくれるはずです。いずれにしても、いくつかの選択肢からご自宅に最適なものを選んでくれる業者さんに依頼しましょう。

ちなみにカヨコさんは後日、リフォーム会社に屋根を見てもらったところ、塗装や修理で問題ないことがわかりました。「余計な出費がかからなくてよかった~」と、浮かれ気分で夏の旅行計画を立てているそうです。

※リノベーション入門編として、〈初心者さんのためのリノベーションQ&A〉の記事もご覧ください!

屋根の劣化やスケルトン状態での目視チェックの結果、必要があれば補強します。後から耐震リフォームをするよりも、ぐっとコストダウンに。
 

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