もし ラグビー日本代表が気密性を高めたら | リノベーションスープ

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もし ラグビー日本代表が気密性を高めたら

もし ラグビー日本代表が気密性を高めたら
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寒くなりましたね。とくに朝晩は「暖房を入ようかな?」と思ってしまうほど冷えます。しかし、ラグビーワールドカップで日本代表が戦っているときだけは、ふしぎと非常に温かい。

五郎丸選手がトライを決める瞬間はもちろん、みんなでスクラムを組んだときの密着感といったら。がっちりとした8人対8人の選手が押し合いへし合いしている様子は、見ているだけでだらだら汗が流れてきそうです。

強固に組まれたスクラムの中には、微量の空気も流れ込んでないでしょう。まわりにどれだけ冷たい風が吹いたとしても、スクラムの中は熱気がすごい。もうお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、ラグビーのスクラムは気密性と原理が一緒。

今回は、断熱性能をさらに高める気密性についてご紹介します。

気密性が高い住まいは、いつもぽかぽかあたたかい

そもそも気密性って何なの?

「マンションは気密性が高いから」とか、「昔の家は気密性が低い」なんて言葉、聞いたことはありませんか? 気密性とは、簡単に言うと建物に隙間がないこと。しつこいですが、ラグビー日本代表の、あの息も詰まるようなスクラム状態です。

「昔の木造住宅が寒い」と言われているのは、隙間がたくさんあったから。隙間風がどんどん吹き込んで、どんなに暖房を入れても部屋はあたたかくなりませんでした。

しかし、前回お話したように今では〈高気密・高断熱住宅〉という言葉があるほど、気密性が重視されています。せっかく断熱材で外の冷たさをプロテクトしても、隙間風が入ってくると効果はありません。フタが開きっぱなしの魔法瓶のようなもの。断熱するなら気密性も同時に高めなければ意味がないのです。

これから古い木造住宅をリノベーションする方は、ぜひこの気密性に注目してみましょう。
 

気密性が高いと、いいことあるの?

気密性の高い=あたたかい、と考えてオッケーです。気密性が高ければ、冷たく乾いた風が吹こうと、雪が降ろうと、家の中にほとんど影響がありません。

さらに、少ない暖房や加湿で効果が出やすく、電気代の節約にもなります。一日中暖房を付けっぱなしの真冬、電気代の請求書におびえていた方も鼻歌まじりに見ることができるように。

また、気密性が高いお住まいは、じめじめした湿気、車の排気ガス、花粉やカビ、ダニやノミ、騒音などの侵入も防ぎます。フルバックで日本代表チームを守る、五郎丸選手のような役割をしてくれるのが気密性です。

ぜひ一家に一人ほしいですね。
 

気密性はどうやって高めることができるの?

お住まいをリフォームするとき、普通は間取り変更やデザインを変えるついでに住まいの性能をアップし、快適に過ごせるようにします。住まいの性能というのは、あたたかいとか、寒いとか、通気性がよいとか、そういった心地よさです。

例えば、古い木造住宅は隙間風が吹いていて、冬の厳しさといったら言葉にならないほどです。布団に入って寝ていても、朝は顔が寒くて目が覚めるそうです。リフォームでは断熱性と気密性をアップして、この寒さを改善します。

気密性の高い住まいは、住まい全体をぴったりとサランラップで包まれたようなイメージです。壁の中に気密シートを入れ、隙間にテープを貼ったり、気密コンセントボックスを使うなどして、とにかく隙間をなくします。また断熱目的でインナーサッシを設けたり、サッシを交換することで、結果的に気密性もアップします。

住まいの状況によって方法はさまざまです。リノベーション会社に、ご自宅の場合はどのような工法で、いくらくらいコストがかかるかをしっかりと確認しましょう。

気密性が高いと困ることもある

そもそも、高気密・高断熱の住まいは北海道が発祥です。冬はマイナス10度以下にもなるため、断熱をしっかりとして、隙間をなくし気密性を高め、さらに熱が逃げやすい窓を小さくし、イヤでも室内の熱が出て行かないようにする”必要”があったのです。

しかし、夏はむしむしする東京で、窓が小さく数も少ない住まいだと、風通しは最悪。「ちょっと暑いから今日は窓を開けて…」というわけにはいかず、冷房をつけることになります。

また、高断熱・高気密の住まいには24時間換気をしなければなりません。もし換気扇が壊れたり、お子さまが勝手に止めてしまったまま気がつかないと、汚れた空気や湿気、二酸化炭素が充満します。もちろん結露の原因にもなりますね。

気密性が高い住まいは快適ではあるけれど、冷房と換気システムにたよりっぱなしの生活。「できるだけ自然光や風をとりいれて暮らしたい」という方は、ちょっと合わないかもしれません。

まとめ

いかがでしょうか。気密性の高い住まいは、太陽の光や風といった自然エネルギーを取り入れながら暮らす〈パッシブデザイン〉とは対極にあります。

風の通る高台や、大きな公園の隣など、お住まいの周囲の環境がよければ、風通しや光を考えながら住まいをつくることができるでしょう。しかし、都会で暮らしているとそうはいきませんね。目の前が幹線道路でうるさかったり、排気ガスが入ってきたり、湾岸沿いで海の臭いが気になったり、花粉がひどかったり。こんなふうに外の環境が気になるなら、やはり高気密の”閉じた”住まいがおすすめです。

高気密がいい・悪い、というわけではありません。家の外を遮断するか、共存する。理想の暮らし方から、住まいの性能を考えていきましょう。

もちろん、リノベーション会社と一緒に。

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