安藤忠雄がつくった革命的な作品たち | リノベーションスープ

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安藤忠雄がつくった革命的な作品たち

安藤忠雄作品1
Нет 大阪建築

安藤忠雄。

建築に詳しくない方も、名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。親しみのある口調やはっきりとした物言いから、大阪のおっちゃんみたいなイメージがあります。しかし、建築界では数々の新風を巻き起こしてきたスゴい人なのです。

しばしば注目されるのは、彼の経歴。同世代の黒川紀章や伊東豊雄がそれぞれ京大、東大の工学部を卒業したエリートなのに対し、安藤忠雄は高卒です。建築設計事務所でアルバイトをしながら独学し、ここまでのぼりつめたという、完全な叩き上げです。ボクサーの道は潔くあきらめたけれど、建築は諦めなかった。

安藤忠雄の作品に触れたことがない方も、安藤忠雄に親しみを感じられる作品をご紹介します。

安藤忠雄作品1_住吉の長屋(竣工1976年)

安藤忠雄の初期の作品。小さな長屋ですが、安藤忠雄にとっては大きな存在で、今でも代表作として語り継がれています。

正面の小さな路地以外は、両隣と後ろ3方を住宅に囲まれている住宅密集地。コンクリートの箱のようなミニマムなカタチが、下町風情の街並で目を惹きます。もともとは基礎や梁が繋がっている三軒の長屋でしたが、真ん中を切り取って、独立させています。長屋ということからおわかりと思いますが、かなり狭い住宅です。中央には中庭があり、普通に考えるとますます狭くなるのでは? しかも、 部屋間を移動するには中庭を通る必要があり、冬はけっこう辛そうです。

「寒いならセーター着たらええやないですか」とこれまた安藤忠雄らしいコメントも。こちらの作品については賛否両論がありましたが、築40年の今でも注目されているのは事実です。 解体費を含めた1千万円という低予算のプロジェクト。17坪ほどの土地に、建ぺい率を守りながら光と風を届けるための工夫がなされています。

安藤忠雄作品2_光の教会(竣工1972年)

安藤忠雄作品2
Нет 大阪建築

シンプルな打ちっぱなしのコンクリートです。正式名称は茨木春日丘教会で、〈光の教会〉として親しまれています。

祭壇には壁一面に十字架のスリットが設けられていて、そこから暗い室内に外の光がすり抜けるように注いでいます。これを実現するにはかなり構造的な苦労があったそうです。 聖書をイメージさせる絵画や、壁の光の十字架以外には十字架はありません。とても簡素なつくりです。だからこそ、光の十字架が唯一のシンボルとなり、圧倒的な存在感を放っています。

床と椅子には暗く塗装した足場材が使用されているため、いっそう禁欲的なイメージ。 もう1つ注目していただきたいのは、祭壇の位置。通常の教会は、祭壇が高い位置にあることがほとんどですが、こちらは祭壇が音楽ホールのように低い位置に設けられています。神父さまの祈りの声が、信者の方の一人一人の心にしっかりと届くことでしょう。

1999年には安藤忠雄設計による教会ホールも竣工。主に、子どものための日曜学校として使われているそうです。

所在地/大阪府茨木市北春日丘4-3-50
敷地面積/838.60m2
建築面積/礼拝堂 113.05m2 日曜学校 148.80m2
構造/礼拝堂 ・日曜学校ともにRC造

安藤忠雄作品3_近つ飛鳥博物館(竣工1994年)

安藤忠雄作品4
Нет 大阪建築

安藤忠雄自身が代表作として挙げており、第26回日本芸術大賞や1996年度BCS賞を受賞しています。

大阪の南部に位置する『近つ飛鳥』というエリアには、聖徳太子や小野妹子など偉人の200を超える古墳が点在しています。街全体が古墳の宝庫とされている、特別なエリアにたたずむのが〈近つ飛鳥博物館〉。古墳の展示と研究を目的に建てられた博物館です。

まわりには古墳の群。これらを一望できるよう、建物全体が丘のように隆起していることも大きな特徴です。周囲に点在する古墳と調和する黄泉の塔。そこに続く壮大な階段広間の中が、博物館となっています。

駐車場から博物館までのアプローチもユニークです。駐車場から、ゆるやかに湾曲する壁に沿って進むと、階段広間があらわれます。そこを斜めに横切る通路を通り抜け、エントランスに到着。ゆっくり歩いていると、古墳を上っているような壮大な気分になります。

安藤忠雄の「ただの展示施設にはしない」という強い意志を感じさせる作品です。

所在地/大阪府河内郡河南町大字東山299
建築面積/3,407.84㎡
延床面積/5,925.20㎡
構造/SRC造 地下1階・地上2階建て

まとめ

安藤忠雄の作品と言うと、表参道ヒルズや21_21 DESIGN SIGHT、東急東横線の渋谷駅など、ビッグプロジェクトが目立ちます。しかし、初期には個人住宅や小さな教会なども手掛けています。今回ご紹介した〈住吉の長屋〉や〈光の教会〉のように小じんまりとした作品のほうが、安藤忠雄のイズムを感じられるような気がしますね。

いずれの作品も、現状に甘んじることなく、ストイックに切り開いてきた安藤忠雄の人生と、どこかリンクしそうです。

今回は、大阪に所在する作品を中心にご紹介しましたが、日本全国、海外でも安藤忠雄の作品を目にすることができます。スタイリッシュだったり、ラグジュアリーだったり、庶民的だったり…。作品のさまざまな表情を見ていると、日本を代表する現代建築家といわれる理由がわかるような。

建築に少しでも興味がある方は、まずは身直に見られる安藤忠雄作品を訪れてはいかがでしょうか。

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