
住まいのなかで一番小さなスペースはトイレかも。しかし、小さいからとあなどってはいけません。トイレは一日に何度も使う場所です。リフォームするなら、掃除のしやすさ、使いやすさはちろんですが、デザイン性も大切にしたいところですね。
気になるのが、トイレのリフォームのタイミング。トイレは10~20年くらいで、温水洗浄便座や暖房便座の故障が目立ってきます。床や壁、配管も同じです。せっかくリフォームでトイレを新しくするなら、空間をまるごとお好きなテイストに変えてみてはいかがでしょう。
今回は、最高に居心地がよく、クールなトイレ空間の実例を集めてみました。かっこいいインテリアがお好きな方の、参考になるはずです。
〈リフォーム実例1〉オールブラック! ラグジュアリートイレ
黒でまとめて幻想的なインテリアにリフォームした、トイレの実例です。
真っ黒な空間に、白い陶器がぼんやりと浮かび上がるような。手洗い器の前には、有機的なパターンが凹凸で描かれたデザインタイルを貼りました。ここだけタイルにしたのは、水撥ねがあっても拭き取りやすいから。ライトが当たるとタイルの凹凸が際立ち、高級感が広がります。色使いはクールですが、デザインタイルや丸いミラーが冷たくなりすぎるのを防いでいます。
浴室と洗面室を大きくするため、トイレはかなりコンパクト。ミニマムな空間に合わせて、オリジナルのペーパーホルダースタンドを製作しました。限られたスペースながらも、強いインパクトを放っています。
〈リフォーム実例2〉木に囲まれたモダンなトイレ
木をふんだんに使ってリフォームしたトイレの実例です。
「木のあたたかい素材感が好き」という方は少なくないと思います。ただし、 木の色・木目模様・使うボリュームによって、野暮ったくなったり、重苦しくなったり。トイレのような狭いところに木を使う場合は、よくよく注意して使わなければなりません。
こちらのトイレは、床・壁・天井に木を張り、木に囲まれたような印象をつくりました。あえて天井を下げ、籠ったような雰囲気を演出していることもポイントです。
これほど木をたくさん使っているのに、野暮ったさがないと思いませんか? むしろ、すっきりとしていてクールですらあります。その理由は、木目や色が均質なものをセレクトし、空間をフラットに構成しているから。
一般的に水まわりは、タイルやビニールクロスなど〈濡れてOK〉の素材が多くなります。トイレにここまで木を使うのは、ちょっとめずらしいかもしれません。水滴を放置すると、シミができたりしますが、「それも味わい」と思える方は、リフォームでこのようなトイレをつくってみてもよいでしょう。
〈リフォーム実例3〉クラシカルさがただようシックなトイレ
クラシカルなテイストにリフォームしたトイレの実例です。
壁は、グレーがかった青〈納戸色〉で塗った框組のパネルを張りました。床には、角が手割りのようにギザギザで、経年した石のようなタイルを。
カッチリとしたフォーマルではなく、隙をつくると、リラックスした空気感が生まれますね。
壁一面にはミラーを設置。上部に少しだけFIXガラスを入れ、窓の光が最低限とどくように。基本的にほの暗く、籠ったような落ち着きが生まれるように空間を構成。
ちなみに壁の框組は、框と鏡板の間の角度にこだわっています。この角度が深すぎるとクラシカル、浅すぎるとモダンなイメージに偏ります。
適度なクラシカル性とモダン性を表現するために、デザイナーは何度も検討して傾斜の角度を決めたそうです。
絶妙なバランスの心地よさを持つ、クラシカルなトイレに生まれ変わっています。
〈リフォーム実例4〉質感に一技! クールモダンなトイレ
グレーでまとめてクールモダンにリフォームしたトイレの実例です。
壁と天井は、グレーでペイント。塗りムラや刷毛跡が出るように塗っています。ライトの光が当たると、壁にアンニュイな表情が。一方で、片側の壁はウレタン塗装。つやのある黒い壁により、モダンなファクターをプラスしました。
手洗いカウンターと飾り棚の天板は、黒皮鉄を使用。黒皮鉄は加工時の溶接の跡や擦れがあり、使い続けるうちに変色したり、錆ができたり。そうして徐々に味わいが深まっていくのもたのしみです。
そして、床はヴィンテージ加工を施したオークの無垢フローリング。使い古したような風合いが心地よさをつくります。
一見シンプルで落ち着いたトイレですが、よく見ると塗装やオーク、黒皮鉄などの素材の表情が散りばめられています。心地よさをつくるためには、ディテールを追求することが大切です。
まとめ
いかがでしょうか。最近では、トイレのリフォームでインテリアにこだわる方が増えてきました。「どんなインテリアにしたらいいの?」と悩んでしまいそうですが、居室のテイストと統一すれば、間違いありません。しかし、「リビングは明るく開放的に、トイレはシックに」というのもアリ。そんなときは、ダークトーンでまとめたり、天井を低くしたり、照明を控えめに入れたり。さまざまな色や素材や空間構成で、ご希望のトイレをつくってみてはいかがでしょうか。
とにかく、使う人が「ここにずっと籠っていたい…」と思うような心地よさをつくることができればベストです。
せっかくトイレをリフォームするなら、「清潔感があって、明るくて…」なんてありきたりなイメージにとらわれず、”あなただけ”が心地よさを感じる空間をつくってみてください。毎日使うのは、そこで暮らす人なのですから。