『禅』に救われた僧侶・君島真実さんにインタビュー 後編 | リノベーションスープ

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『禅』に救われた僧侶・君島真実さんにインタビュー 後編

坐禅東京・イベント

曹洞宗の僧侶・君島真実(きみじましんじつ)さんへのインタビュー後編です。(インタビュー前編はこちらから)

曹洞宗は、『坐禅』を基本とした宗派。君島さんご自身も、過去の厳しい修行のなかで「坐禅によって救われた」と話します。

もちろん今でも、歩きながら・仕事の合間・寝る前に、とさまざまなシーンで坐禅を組んでいるそう。君島さんにとって、坐禅はおだやかな暮らしをつくるのに欠かせない方法です。

「自分の生き方に繋がるような世界」を思ったとき、選んだのがお坊さんだった

曹洞宗・君島真実さんインタビュー

―――君島さんがお坊さんになったのは、ご実家がお寺さんだったからですか?

君島さん
いえいえ、私の父はサラリーマンでした。企業に勤めていていて、バリバリ働いていて、いつも忙しそうで。でも親戚にお坊さんがいたので、とくべつな仕事だとは思いませんでしたね。

お坊さんになろうと思ったきっかけは、学生時代のボランティアの影響が大きいです。

あるとき、高齢者の施設でボランティアをしていて。おばあさんの車椅子を押して、「高いところにある人形をとってほしい」と言われたのでとったら、泣いて喜んでくれたんです。『どうして?』って思いましたよ。すごく当たり前のことをしただけなのに。

ーーーそのときのことが、ずっと心に残っているんですか?

君島さん
ええ。なぜだかとても感動した。単純にこういうことを続けていけたらいいな、って思ったんです。「自分の生き方に繋がるような世界に行きたい」と思ったとき、選んだのがお坊さんでした。

笑いによって、「お坊さんっていいな」って思ってくれたらいいと思って

曹洞宗・君島真実さんインタビュー

(写真/君島さんが副住職を務める栃木県那須塩原市 高林寺)

―――そういえば、君島さんは那須塩原市の高林寺の副住職として檀務を行いながら、坊主バンドのドラムもやられていますね。おだやかな君島さんからは、まったく想像できません(笑)。

君島さん
あれは、ほんとに偶然というか…。

私が企画した”真面目な”仏教イベントのチラシを置いてもらうため、四谷の坊主バーに持って行ったんです。そしたらお店の人から突然、「坊主バンドっていうのをやってて、今度九州にツアー行くんだけど。ドラムがいないから手伝ってほしい」と言われて(笑)。実は、大学の時ボランティアとは別に、バンドサークルに入っていてドラムを叩いていたんですよ。

九州好きだし、ラーメン食べられるし、「いいですよ」ってノリではじめました。たまたまですよ、ほんとに。

―――ご縁があったんですね。坊主バンドはコミカルですし、周囲から批判されることはなかったんですか?

君島さん
もちろん言われることもあります。でも、お釈迦様を冒涜するわけじゃない。笑いが中心だけど、真面目な話をすることもあるし、そんな時はお客さんが泣いてくれる。一生懸命うなずいてくれている人もいるんです。

坊主バンドは、仏教界になかった”笑い”を取り入れた。笑うことで、ちょっとでも「仏教っていいな」って思ってくれたらいいですね。そうやって、少しでもみんなの人生を豊かにしていきたい。

禅を組むと、ブレている自分がもとのラインに戻っていく

曹洞宗・君島真実さんインタビュー

―――君島さんは坐禅を広めるという真面目な部分と、遊びの部分が入り交じっているところが魅力ですよね。マジメにやるところはやる。気を抜く時は抜く。

君島さん
そうですかね。私が好きな仏教用語に、『如是(にょぜ)』というものがあります。真理はありありと目の前に現れている、ということ。つまり「これでいいのだ」ですよ。

私が坐禅をして「ああそうか」と感じたのがこれなんです。修行中に「ああそう、如是、これでいいんだ」って思ったときの安心感。その救われる感じは、今でもはっきりと覚えています。

大切な人を亡くしたりすると、誰でも今までの自分じゃ対応できなくなることがある。そのときに、どうするかが問われる。僧侶も同じです。

ここで大事になってくるのが、形・作法・儀礼。禅を組むと、ブレている自分がもとのラインにもどっていく。冷静になって、自分の道、新しい考えを見つけて行くことができるんですよ。

必要最低限のモノに囲まれ、淡々と物事をやることは、尊い

―――曹洞宗は坐禅を基本にしているだけあって、君島さんを救ったのも『坐禅』だったんですね。修行中、「逃げ出したい」なんて思ったことはありますか?

君島さん
何度もありますよ。いつも「早く出たい」って思ってました。そんなにイヤだったのに、一歩外に出た瞬間、「俺はすごく幸せな世界にいたんだな」って思ったんです。

―――どうしてですか?

君島さん
修行道場って『仏教の教えが活き活きと行き渡っている空間』なんですよ。葛藤したり悩んだり、煩悩だらけの自分も全部受け入れてくれるんです。限られた空間と物の中で、ひたすらに教えに向き合えるんです。そこには、同じ志の仲間と規律があるので教えを守っていきやすいんですよね。

でも外の世界は、いくらでも誘惑があるわけじゃないですか。刺激が強く、モノが溢れている。ほんとはこんなにいらない。ありすぎるから必要以上に葛藤するし、悩みが生まれる。

必要最低限のモノに囲まれ、ただ淡々と物事をやることって、尊いんだって気がつきました。

価値観が違うお坊さんが仲間にいると、心強いこともある

曹洞宗・君島真実さんインタビュー

(写真/君島さんが都内で行った坐禅イベントの様子)

―――クラフトの青山モデルルームでの坐禅会もそうですが、君島さんは積極的にいろんなイベントをなさっています。どうしてですか?

君島さん
自分が坐禅で救われたから、みなさんにも知ってほしい。これはお坊さんの社会的な役目だと思うんです。

お葬式や法事ももちろんすごく大切なこと。でも「それ以外に、世の中の為に何ができるか?」を考えたとき、私の場合は坐禅だったんです。

―――昔はお坊さんがもっと身近にいたわけですよね。寺小屋があったり、困ったことがあったらお坊さんに相談したり。今は葬式や法事の時だけお会いする…というように、ちょっと距離があるような気がします。

君島さん
そう。お坊さんって、一般の方とは違う生活しているので、価値観が違う。だから、本当ならお坊さんが仲間にいると、心強いはずですなんです。「こんなとき、お坊さんだったらどう考えるだろう」なんて相談できますしね。

そのためには、私たちが『みんなに気楽に相談にきてもらいやすい環境』をつくることが大切。イベントが、そのきっかけになればいいなと思っています。

10/14(日)座禅会を開催! @クラフトの青山モデルルーム

曹洞宗・君島真実さんインタビュー
クラフト青山モデルルーム

クラフトの青山モデルルームで、君島さんの坐禅会を開催します。
坐禅や歩く坐禅、それから為になるお話も。
やわらかな光が注ぐ心地よい空間で、心と身体をリフレッシュさせましょう。

◯日時:10/14(日) 10:00~(1.5時間) イベントは終了いたしました。
◯場所:青山モデルルーム
東京都港区南青山5-15-9 フラット青山205
「表参道駅」B3出口より徒歩7分
 Googleマップ
◯定員:10名
定員を超えてご応募いただいた場合は、抽選とさせていただきます。抽選結果は、10/6(土)頃ご連絡差し上げる予定です。
◯お申込み締め切り:2018年10月11日(木)
◯参加費:無料 (お布施は受け付けます)
◯応募方法:下記専用フォーム
※ご同行の方がいらっしゃる場合は、その方のお名前もご記入ください。

*当日はパンツスタイル・身体を締め付けない服装でお越しください。
*皆様の様子を撮影し、webで使用させていただくことがあります。
 掲載不可の方は、事前にお申し出ください。
*会場には駐車場のご用意がございません。
 お車でご来場の場合は近隣コインパーキングをご利用ください。

〈プロフィール〉
君島真実(きみじましんじつ)
1980年生まれ。
駒澤大学仏教学部卒
國學院大學大学院文学研究科博士課程前期修了
平成16年 曹洞宗大本山永平寺安居
現在は栃木県那須塩原市高林寺の副住職として檀務を行う他、曹洞宗総合研究センター委託研究員として〈朝活禅〉〈Earth禅堂プロジェクト〉〈曹洞宗法要ライブ法悦〉などの企画運営に携わる。また月に一度、東京四谷東長寺の〈お粥と坐禅の会〉にて坐禅指導を行っている。

坐禅イベントのお申込みはこちらから。定員を超えた場合は、抽選とさせていただきます。
坐禅イベントのお申込みはこちら

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