いざマンションをリフォームしようと思うと、気になることがたくさん出てきますよね。
「間取り変更はできるの?」
「キッチンは移動できる?」
「費用はどのくらい?」
などなど疑問が膨らむばかりです。そこで、マンションリフォームの前に知っておきたい基本をまとめました。これからマンションリフォームをお考えの方は、ぜひご一読ください。
〈目次〉
■マンションリフォームの間取り変更でできること
ー部屋を広く
ー水回り(キッチンやバスルーム)を移動
ー生活しやすい動線づくり
ー収納量アップ
ー通風・採光の確保
■マンションでリフォーム「変えられる」ところと「変えられない」ところ
ーリフォームできない共有部分とは?
-リフォームできる専有部分とは?
■マンションリフォーム、間取り変更時のチェックポイント
ー構造は壁式じゃない?
ラーメン構造と壁式構造の違い
ー排水経路は確保できる?
直床・直天井は不利に?
ー管理規約は特別厳しくない?
フローリング、水回りの移動がNGなマンションも
■マンションリフォーム事例
ー(間取り変更事例1)家族が集まる大空間のリビング
ー(間取り変更事例2)ホームパーティーができるキッチン
ー(間取り変更事例3)スムーズな家事動線でストレス軽減
ー(間取り変更事例4)連続窓で明るくオープンな暮らし
ー(間取り変更事例5)ワンルームのように家全体がつながる
■マンションリフォームの費用相場
ー23~25万円(㎡あたり)が目安
ーどこまでやるか・こだわるかで費用が変わる
(作成日2019.9.6 / 修正日2022.1.09)
マンションの間取り変更、どんなことができる?
マンションリフォームの間取り変更とは、壁を撤去してリビングや居室を広くしたり、キッチンを移動すること。邸内全体のレイアウトを変えることもできます。主に、以下のようなことを行います。
●壁を撤去してLDKを広く
●個室の数を増やす・減らす
●キッチンをオープンに
●水回り(キッチンやバスルーム)を移動
●長い廊下を、居室にとりこむ
●寝室~WIC~玄関をつなげるなど、生活しやすい動線に
●収納量アップ
●通風・採光の確保
など。マンションリフォームでは、上記以外にもできることが多数。ライフスタイルに合わせて、間取りをゼロから構築できるのがマンションリフォームの魅力です。
間取り変更で変えられるところ・変えられないところ
マンションリフォームでは、「変えられる」ところと「変えられない」ところがあるのをご存知ですか?
マンションには「共用部分」と「専有部分」があるからです。残念ながら、リフォームで手を加えられるのは「専有部分」のみ。「共用部分」はマンション住民みんなの持ち物なので、リフォームはできません。これは戸建てリフォームとの大きな違いです。
●マンションの共用部分の一例(間取り変更できない)
・床、壁、天井のコンクリート躯体
・サッシ、窓ガラス、網戸
・PS(パイプスペース)の位置
・給湯器の位置
・換気扇、エアコンの孔
・インターホン
・アルコープ
・バルコニー
・玄関ドア
・共用部分の配管交換
とくに注意したいのが、「玄関ドアも共用部分になる」ということ。「玄関ドアの色が剥げてるから交換したい」と思ってもできません。(ただし、住居側のドアに塗装したり、シートを貼るのはOK)
また古いマンションの場合は、管理組合に交渉することでサッシやインターホンの交換が可能になることも。その際の管理組合との交渉は、リフォーム会社が行ってくれます。
●マンションの専有部分=間取り変更できる
玄関の内側から、バルコニーの内側までの住戸部分は、リフォームできる部分です。専有部分内であれば、古くなった配管の交換もできます。(一般的に配管の寿命は20~30年と言われています)
●IHクッキングヒーターや電気床暖房の導入は注意!
「専有部分であればなんでもできる!」というわけではありません。たとえばIHクッキングヒーターや電気床暖房を導入したいと思ったら、管理組合へ電気容量を上げる申請を行う必要が出てきます。しかし、築年数の古いマンションはマンション全体の電気容量が少なく、むずかしいことも。リフォーム前提でマンションを購入する場合は、事前に管理組合に確認しておきましょう。
マンションの間取り変更、3つのチェックポイント
●チェックポイント〈1〉構造はラーメン構造?壁式構造?
〈ラーメン構造〉
タワーマンションや中層マンションは、「ラーメン構造」です。マンションのお部屋の中に、柱や梁の凹凸があったりしませんか?タワーマンションだととくに柱の存在が大きく、インテリアの邪魔をすることがあります。これは柱と梁で建物を支えているラーメン構造の特徴です。
ラーメン構造のマンションリフォームでは、「この凹凸をいかにフラットに収めるか」も課題のひとつに。柱を利用して収納を設けたり、天井に木のルーバーを入れるなどして、空間が整然と見えるように工夫しています。
〈壁式構造〉
3~4Fの低層マンションに多いのが「壁式構造」です。その名のとおり壁で支えているため、壁・天井に凹凸がなく、空間がスッキリ見えます。しかしリフォームでは「壁を撤去できない」というデメリットも。(ブロックの非耐力壁なら動かせるケースもありますが、解体するまでわかりません)
「壁を動かせないなら、リビングは狭いまま…?」なんて悲しくなってしまいそうですが、ご安心ください。壁式構造のマンションリフォームでは、壁で分断された空間につながりを持たせる、壁の存在を抑えるといった工夫により、開放感を演出できます。
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●チェックポイント〈2〉排水管や排気ダクトの経路は確保できる?
「キッチンを動かしたい」「トイレを動かしたい」と思ったら、まず確認すべきは『配水管・排気ダクトの経路を確保できるか』ということ。直床だったり、床下の高さが低い場合は排水管の傾斜を確保できないため、水回りの大移動がむずかしいと判断されることがあります。排気ダクトも、梁が邪魔して経路を変えられないケースが。事前に確認することが大切です。
ただし、直床でも壁内に排水管を通したり、近くの排水口を利用することで、キッチンの大移動が可能になることも。「直床だから水回りは動かせない」とも言いきれません。ご心配なら、購入前にリフォーム会社に相談しましょう。
●チェックポイント〈3〉管理規約はしっかり確認した?
マンションをリフォームするとき、マンションの管理規約がネックになることも。「フローリングはダメ」「水回りの移動禁止」など、そのマンションならではの規約が設けられていることがあります。とくにタワーマンションや、ヴィンテージマンションにはその傾向が強い場合も。(管理がしっかりしている証拠なので、暮らしやすいという安心感もあります)かならずリフォーム前に、管理規約を確認しておきましょう。
マンションの間取り変更、7つの事例
マンションリフォームで、大胆に間取を変えた事例をご紹介します。壁を撤去してリビングを広げたり、キッチンを大きく移動したり。大胆なリフォームで、過ごしやすい住まいに生まれ変わりました。
マンション間取り変更事例1〈家族で過ごす居心地のよいリビング〉
お母さまが暮らしていたマンションをリフォームし、暮らすことにしたSさんご夫婦。
リビング・ダイニングの狭さが気になっていたことから、洋室と廊下をとりこんでLDKを広げています。キッチンはオープンにし、キッチンとダイニングとのつながりを感じられるように。白と木のやさしいテイストをベースに、色のトーンや素材感、小物によってご希望の和の趣をプラスしたこともポイント。シンプルで上質、そしてどこか和を感じさせるような優しい空間。派手さはないけれど、包み込むようなぬくもり、和のくつろぎが生まれました。
また「生活感のない暮らし」が理想だったことから、玄関前には大きなWIC、LDKには本棚と収納を設けるなどし、収納を充実させています。キッチンから続くカウンター収納は、既存を利用しました。カウンターには、キッチンとダイニングのつながりを強調する役割も。十分な収納計画によって、おだやかに過ごせる居心地のよいリビングが誕生しています。
所在地:東京都 渋谷区
家族構成:夫婦
築年数:35年
リフォーム面積:90㎡
工期:2.5ヶ月
費用:1900万円
マンション間取り変更事例2〈ホームパーティーができるキッチン〉
お住いのマンションを、ご自身のライフスタイルに合わせてリフォームすることにしました。
「ホームパーティをしたい」「友人と一緒に料理をしたい」というご希望を叶えるため、LDK・玄関・廊下といったパブリックスペースを拡大。独立していたキッチンをオープンにし、料理中もゲストとの会話を楽しめるようになりました。キッチンは、ゲストやご家族と一緒に料理をつくるのに十分な広さ。見通しもよく、自然に人が集まってくる居心地のよいスペースです。
冷蔵庫やオーブンは右奥にレイアウトし、生活感が見えないように工夫。キッチンの奥は廊下へと続いており、その先の納戸兼パントリーには、キッチンツールや食料品をストックできます。
奥さまが選んだのは、クオーツの天板のキッチン。グレージュでまとめた上品な空間に、上質なキッチンが溶け込んでいます。
所在地:東京都 世田谷区
家族構成:夫婦+子ども2人
築年数:12年
リフォーム面積:90㎡
工期:3ヶ月
費用:-万円
マンション間取り変更事例3〈スムーズな家事動線でストレス軽減〉
リフォームを前提に、築9年のマンションを購入したご夫婦。戸建てからの住み替えのため、たくさんの荷物をしまう大きな収納が必要でした。そこで、住まいの中心に大きなクロゼットを設置。そのクロゼットを中心に、家中を回遊性するという大胆なプランがポイントです。
ダイニング~キッチン~収納スペース~サニタリー~寝室を通り抜け、ふたたびダイニングへと戻ってくる動線。料理の途中で洗濯をしたり、移動しながら片付けたりと、移動がスムーズに。大胆な間取り変更により、家事効率がアップしています。さらに風の通り道が生まれ、通風性高まりました。
所在地:東京都 世田谷区
家族構成:夫婦
築年数:9年
リフォーム面積:84㎡
工期:4ヶ月
費用:2898万円
マンション間取り変更事例4〈連続窓で明るくオープンな暮らし〉
クラフトのワンストップサービスを利用して、角部屋・最上階のルーフバルコニー付きマンションを購入したKさん。窓の外には大きな空が広がり、空気が澄んでいれば富士山を眺めることができます。このダイナミックな連続窓を活かすため、窓際にLDKをレイアウト。キッチンも大きく移動し、いつどこにいても外を感じられるように。玄関とLDKは一体となっているため、玄関ドアを開けるとリビングルームの先に広がる景色が視界に飛び込んできます。既存のマンションのポテンシャルを最大限に活かしてリノベーションしました。
所在地:東京都 世田谷区
家族構成:夫婦+犬1匹
築年数:22年
リフォーム面積:100㎡
工期:4ヶ月
費用:-万円
マンション間取り変更事例5〈ワンルームのようなつながり〉
こちらもクラフトのワンストップサービスでマンションを購入したTさん。最上階の勾配天井を活かしつつ、開放感を感じさせるLDKを設けています。TVボードの裏側は洗面スペース。洗面室ではなく通路上に設けることで、ホテルライクな2ボウルの洗面カウンターと「ドアに触れずに手を洗うことができる」という利便性を実現しました。
そして間取り変更の最大のポイントは「回遊性」。リビング・ダイニング〜洗面スペース脱衣室〜浴室〜廊下〜寝室〜キッチンと連続させることで、行き止まりなく邸内を移動できるようになりました。暮らしやすさはもちろん、奥さまの家事もこれまでよりぐっとスムーズになったそうです。
所在地:神奈川県 横浜市
家族構成:夫婦+子ども2人
築年数:34年
リフォーム面積:97㎡
工期:4ヶ月
費用:3200万円
マンションリフォームの費用相場は?
マンションリフォームの費用は「どこまでやるか」「こだわるか」で大きく変わってきます。今回ご紹介したように、大きな間取り変更を行うリフォームは「スケルトンリフォーム」「フルリフォーム」と言われ、工事規模が大きく高額に。そのため
費用の目安は、23~25万円(㎡あたり)
と考えてよいでしょう。70㎡のマンションであれば、1600万円~1750万円はみておきたいですね。
〈マンションリフォーム費用が高くなる要因〉
・キッチンを大きく動かすなど、大幅に間取りを変える
・無垢材やタイルなど素材にこだわる
・オーダーキッチン、床暖房などの導入
マンションリフォームの費用相場は、プラン・素材・仕様に比例します。つまり「間取りを思いっきり変えたい」「一流のものを使いたい!」と思ったら、費用が上がってしまうのです。そのために、ご希望に優先順位をつけることが大切。リフォーム会社に予算を伝え、一緒に「ゆずれないこと」考えていくことで、理想の空間づくりができるはずです。
まとめ
マンションリフォームの間取り変更・費用・リフォーム事例をご紹介しました。
マンションの構造や管理規約によっては制約があります。そのためリフォーム会社は、『その制約の中でいかに、お客さまの理想を叶えるか』を求めらるのです。
リフォーム会社を選ぶときは、マンションリフォームの経験が豊富な会社にしましょう。これまでの経験とノウハウで、どのような制約があってもかならず満足できる提案をしてくれるはずです。
また、リフォーム前提にマンションを買って、いざリフォームするときに「壁を壊せなかった」「キッチンを動かせなかった」とわかるのは避けたいところ。もしこれから中古マンションを探すなら、購入前にリフォーム会社に見てもらいましょう。物件探しから依頼するのもおすすめです。
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