壁式構造でも諦めない! 壁を活かした美しい住まい | リノベーションスープ

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壁式構造でも諦めない! 壁を活かした美しい住まい

壁式構造でも諦めない! 壁を活かした美しい住まい
壁式構造のマンションリノベーションのcraft

マンションのリノベーションでネックになるのが、壁式構造。

「間取り変更がむずかしい」と、リノベーションでは敬遠されがちです。もちろんこれを否定する気はありません。しかし壁式構造のデメリットをみじんも感じさせないリノベーションがあることをご存知でしょうか?

これから、壁式構造による制約を乗り越えたリノベーション実例をご紹介します。

壁式構造のマンションとは?

基本的にマンションはRCのラーメン構造が多い傾向にあります。しかし〈家の構造はどう判断する? どんな間取りができる?〉でご紹介したように、ごくたまに壁式構造だったりします。構造を見分ける方法には〈建物の高さ〉と〈柱があるかないか〉が深く関わってきます。

■壁式構造のマンションの特徴
・3~4Fの低層マンション
・室内に柱が一本もない(壁に凹凸がない)

■ラーメン構造のマンションの特徴
・タワーマンションや中層マンション
・住戸の四隅に太い柱がある(壁に凹凸がある)

一見、壁に凹凸がない壁式構造のマンションのほうが、すっきりとしてよさそうです。ブロックの非耐力壁なら動かせる場合もありますが、クロスなど仕上げの上から判断するのはむずかしいです。プロでも「きっとこの位置ならブロックだろうな…」と予測する程度。本当のところは解体してみないとわからないのです。

このように『壁を動かせない』という、リノベーションにおいては致命的なハンディを抱えた壁式構造。しかしこれを克服し、理想的な間取りやデザインにリノベーションした例がたくさんあります。

壁式構造のマンションは、リノベーションでどれだけ変わる?

壁式構造のマンションリノベーションでは、
・壁によって分断された空間に、いかにつながりを持たせるか
・インテリアに取り込み、いかに壁の存在感を抑えるか

ということが重要になってきます。この2つのファクターを意識したリノベーションの実例をご紹介します。

〈壁式構造のマンションリノベ1〉まるごとキッチンに

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壁式構造のマンションリノベーションのcraft

お料理が好きで、キッチンで長時間過ごすという奥さま。壁式構造のマンションですが「もっと広くしてカフェのようなキッチンにしたい」という夢をお持ちでした。

そこで”ダイニング・キッチン”だったスペースを”まるごとキッチン”にするプランをご提案。

中央にはコンパクトなパントリーを設け、箱のような形状でアクセントに。奥さまの大切な食器やキッチンツールをたっぷり収納できるうえ、パントリーを挟んで左右から廊下に抜ける動線によって回遊性をアップ。サブウェイタイルや古材の棚など素材感により、お好みのカフェのような雰囲気を演出しています。

ゆったりとしたキッチンには奥さまのPCスペース、さらにキッチンカウンターも設けています。カフェのオーナーさながらに、お子さまたちにランチを提供しているそうです。

〈壁式構造のリノベーションポイント〉
空間をまるごとキッチンに

〈壁式構造のマンションリノベ2〉梁の存在を抑える

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リノベーションcraft

壁式構造のマンションで悩ましいのが“梁”の存在です。「壁式構造なら梁はないんじゃないの?」という方がいますが…あります。こちらの写真を見てください。リビングと隣の部屋の開口部の上に、白い下がり壁のようなものがあるのがおわかりでしょうか? 梁です。

邪魔なことは承知ですが、梁を撤去するわけにはいきません。そこで、梁の部分を覆うようにガラスの建具を設けることにしました。梁とアイアン建具の横桟のラインを揃え、建具を閉めると重なるようにデザインしています。インパクトのある建具によって、梁に視線が向きません。他のエリアも同様に、視覚的な工夫によって梁の存在を抑えています。

〈壁式構造のリノベーションポイント〉
建具で梁を覆って存在感を抑える

〈壁式構造のマンションリノベ3〉動かせない壁を家具に

壁式構造でも諦めない! 壁を活かした美しい住まい
壁式構造のマンションリノベーション craft

こちらも壁式構造のマンションのリノベーション。構造上、問題のない範囲で壁を撤去し、それぞれ独立していたLDKをつなげました。ただし中央には撤去できない壁が残ってしまいます。

そこで、残った構造壁をバーテーションとして活用。リビングとSOHOをゆるやかにゾーニングします。さらにオリジナルのTVボードを造作しました。上部には間接照明を入れて、ほっとくつろぐスペースに。動かせない壁を空間にさりげなく取り入れた実例です。

〈壁式構造のリノベーションポイント〉
動かせない壁をパーテーションに
壁を家具としてとりこむ

〈壁式構造のマンションリノベ4〉景色を切り取る

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壁式構造のマンションをリノベーション craft

こちらも壁式構造のマンションのリノベーション。

リビングと寝室の間には、動かせない壁がありました。そこで壁の開口部を利用し、本棚の一部を見せてリビングのアクセントに。グレーのクールな空間に、木の本棚がほどよいぬくもりを添えています。

ちらりと見せることで、逆に視線をひきつける。壁式構造のためになくせない壁を逆手にとったアイデアです。開口からこぼれるライトのあたたかな光も、リビングの印象を深めてくれます。

〈壁式構造のリノベーションポイント〉
壁の開口で空間を切り取る

〈壁式構造のマンションリノベ5〉梁の位置まで天井を下げる

壁式構造のため、リビングの入り口には動かせない梁がありました。先ほどは、〈梁を隠すためにドアで覆った実例〉をご紹介しましたね。こちらは、また別の工夫で解決しています。

廊下の天井を梁のラインまでぐっと下げ、高さ2000mmほどの天井高に。上部には間接照明を入れ、抜け感を演出しています。とはいえ、天井はご主人さまなら手が届くほど。かなり低めです。たしかに梁は隠れますが、なぜここまで下げるのかというと…

廊下の天井高を下げることにより、LDKの天井をぐっと高く感じさせるためです。

壁式構造でも諦めない! 壁を活かした美しい住まい
リノベーションCG craft

視覚的な効果のおかげでLDKに入った瞬間、開放感を感じます。

また、キッチン側にも動かせない壁と梁が残りました。「対面キッチンにしたい」というご希望があったため、既存の開口を最大限利用し、LDとキッチンのつながりを感じることができるように。さらに梁の存在を抑えるため、開口部には木枠をゲートのように設けています。

動かせない壁にはタイルを貼って、アクセントにしたことも大きなポイントです。

廊下もLDKも、既存の梁と壁をデザインに取り込んでいます。 現在施工中なので写真をご紹介できず残念ですが、素敵な空間になること間違いありません。お施主さまの理解とデザイナーのアイデアががなければできない、壁式構造のマンションならではのプランですね。

〈壁式構造のリノベーションポイント〉
梁の位置まで天井を下げる
梁の位置に合わせてゲートをつくる
既存の壁にアクセントタイルを

まとめ

いかがでしょうか。

壁式構造のマンションは「リノベーションで間取り変更の自由度がない」と言われています。しかし、それはプラン次第。

既存の間取りのなかでレイアウトを変え、動かせない壁や梁の存在を抑えたり、逆に活かしたり。プランのアイデアがあれば、壁式構造のデメリットをメリットに変えることができるのです。

今回ご紹介したアイデアは、ほんの一部。住む人の家族構成や好みから、最適な間取りをつくることが大切だと思います。もしこれから「壁式構造のマンションをリノベーションしたい」 とお考えの方は、なるべくたくさんのアイデアを出してくれそうなリノベーション会社を選びましょう。

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