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有名建築家の家6選! 常識にとらわれない住まいの魅力

建築家の家6選、常識にとらわれない住まい
Riken Yamamoto Official web

美術館や公共の建物といった、大規模な設計を多数手がける建築家にとって、「家」とはどのような役割を持つ空間なのでしょうか?

今回は、造形が美しい住まいから常識を覆す実験的な住まいまで、著名な建築家の家(自邸・個人邸)をご紹介します。

伊東豊雄「シルバーハット」

建築家の家6選、常識にとらわれない住まい
今治市伊東豊雄建築ミュージアム

宮城県仙台市の「せんだいメディアテーク」、「座・高円寺(杉並区立杉並芸術会館)」などを手がける伊東豊雄氏。

1984年、伊東氏の自邸として東京都中野区に「シルバーハット」は建築されました。コンクリートの柱にかまぼこ型の軽量な鉄骨フレームが乗った、特徴的な構造。住まいの中心に中庭を配置した開放的な造り。

一部には開閉可能なテントが掛かっており、リビングの延長としての空間に。中庭に面する居室はガラス張りで、当時小学生の娘さんが暮らす子ども部屋の中には、テントで囲まれた空間を確保していたそう。

この実験的な住まいは、1986年に日本建築学会賞作品賞を受賞。現在は愛媛県今治市の伊東豊雄ミュージアムに移築、一般公開されています。

安藤忠雄「住吉の長屋」

東京都渋谷区の「表参道ヒルズ」、「東急東横線渋谷駅」などを手がけた安藤忠雄氏。

1976年、大阪府の下町の住宅密集地にコンクリートの箱のような個人邸「住吉の長屋」が建築されます。

コンクリート打ち放しの建物で知られる安藤氏の、原点であり代表作です。

四方が壁に囲まれた2階建ての家の中心に、通風や採光を確保する中庭を配置。

中庭が生活空間を分断するため、寝室からトイレや居間に移動するには、一旦外に出ることになります。もし雨が降っていたら傘をささなければならない、大胆な間取りです。

現在でこそコンクリート打ち放しの建物や外に面する窓が少ない家も一般的に見られるようになりましたが、当時の建築業界に与えた衝撃は大きいものでした。住吉の長屋は、1979年に日本建築学会賞を受賞しています。

原広司「中塚ハウス」

原広司氏の代表作は、「京都駅ビル」や大阪府の「梅田スカイビル」。

1994年、東京都中央区の個人邸「中塚ハウス」を手がけました。

外観はコンクリートと金属の組み合わせが近未来的で、楕円のマークが描かれた正面の大きな扉も印象的。

住まいの中心に弓状の階段を配置しているため、その左右にある居室の壁も美しい弧を描いています。リビングとホールは楕円形です。

吹き抜けの天窓から、白を貴重とした空間に落ちる光は神秘的。住まい全体がアトリエやギャラリーのように非日常的な雰囲気です。

藤森照信「タンポポ・ハウス」

長野県茅野市「神長官守矢史料館」、岐阜県多治見市「モザイクタイルミュージアム」などを手がけ、自然と調和する建築物で知られる藤本照信氏。

東京国分寺市の住宅街にある「タンポポ・ハウス」は、1995年に建築された自邸です。

その名の通り、タンポポをはじめとした自然の草花が、屋根と壁面に生い茂る家です。

春になれば、鎧のようにまとった不揃いな鉄平石の間からは、帯状に草花が芽吹きます。その様相は、まるで童話の世界のよう。室内は壁と天井を曲線でつなぎ漆喰を塗って、洞窟のような空間に。

この家を建てるにあたり、漆喰の色を作るためにドラム缶で藁(わら)を煮て冷ますことを20時間以上繰り返し、在来種「ニホンタンポポ」を集めるために関東を奔走。協働設計者は「超高層ビルを建てるよりも難しい」と言ったとか。

隈研吾「Wood / Berg」

建築家の家6選、常識にとらわれない住まい
Kengo Kuma and Associates

隈研吾氏は東京都港区「根津美術館」や日本郵便商業施設「KITTE」の内装を設計した建築家。2020年開催の東京オリンピックの主会場となる「新国立競技場」も手がけています。

「Wood / Berg」は2008年に建築された東京都渋谷区の個人邸。「Wood(木)/Berg(山)」の名が示すとおり、6層から成る建物の全体を木製ルーバーで囲むことで、建物の輪郭をやわらかくつなぎ、ひとかたまりの山のようなシルエットに。

和の要素を取り入れ、自然素材を用いた建築で知られる隈氏は、「20世紀はコンクリートの時代だったが21世紀は木の時代」といいます。

山本理顕「GAZEBO」

建築家の家6選、常識にとらわれない住まい
Riken Yamamoto Official web

山本理顕氏は、神奈川県「横須賀美術館」、「埼玉県立大学」などを手がけた建築家。

「GAZEBO(ガゼボ)」は、1986年に建築された神奈川県横浜市の雑居ビル。1階がテナント、2階は賃貸住宅で、3 ・4階が山本氏の自邸となっています。

4階の中庭がリビングのような役割を果たしており、中庭に面した居室や浴室はガラス張りという開放的な間取り。建物の外観はステンレスメッシュのスクリーンで覆われています。

ガゼボとは公園などの見晴らし台やあずま屋(休憩スペース)という意味。多様な住み方を共有する都市型住居の実験的な試みとして、この家を作ったそうです。自邸部分は第39回日本建築学会賞作品賞を受賞。

まとめ

著名な建築家が手がけた家をご紹介しました。

・伊東豊雄「シルバーハット」
・安藤忠雄「住吉の長屋」
・原広司「中塚ハウス」
・藤森照信「タンポポ・ハウス」
・隈研吾「Wood / Berg」
・山本理顕「GAZEBO」

築年数が古い建物も多いですが、洗練されたデザインと斬新なコンセプトは、古臭さを感じさせません。建築家のこだわりが詰まった邸宅のエッセンスを、リノベーションの際の参考にしてみてはいかがでしょうか?

建築家によるこだわりのリノベーション事例を多数掲載しています。建築家の手がける個性的な家づくりもぜひご相談ください。

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