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左官仕上げとマテリアル。豊かさをつくる塗り壁5選 | デザインリフォームのクラフト

左官仕上げとマテリアル。豊かさをつくる塗り壁5選
左官仕上げとマテリアル。豊かさをつくる塗り壁5選

〈左官仕上げ〉という言葉を聞いたことはありますか?

左官仕上げとは、職人さんがコテを使って仕上げた塗り壁のこと。大小さまざまなコテを使い分け、空間に変化を与え、和ませるような表情をつくりだします。

クロスに比べるとコストは高くなりますが、シームレスでやわらかな美しさのある左官仕上げはとても魅力的です。

左官仕上げの塗り壁は、インテリアに奥行きをもたらす

クラフトのリノベーション実例から、さまざまな左官仕上げの壁をご紹介します。

〈左官仕上げ材料1〉冴えわたる漆喰

左官仕上げとマテリアル。豊かさをつくる塗り壁5選

リノベーションで「漆喰と珪藻土をどちらにするか」と迷う方がいますが、その質感はまったく異なるため本来なら比べることはできません。漆喰の原料は石灰。お城や蔵の外壁に使われることからもわかるように、とても強い素材です。

塗るときは、壁に化粧を施すように丁寧にフラットに。冴え渡るような白さの漆喰をインテリアに取り入れると、このように。

リビングから注ぐ光が壁にあたって光沢が生まれ、漆喰のコテむらがはっきりと浮かんでいます。さざ波のようなやわらかな表情に、導かれるように進んでいく心地よさ。

奥ゆかしく、清潔で、凛とした漆喰。日本人のDNAを呼び起こしてくれそうですね。

〈左官仕上げ材料2〉デザインも機能も抜群の珪藻土

漆喰の原料が石灰なのに対し、漆喰は珪藻の殻が化石化したもの。たっぷりと塗ることが多く、左官仕上げのバリエーションが豊富で、リノベーションで室内に取り入れる方も少なくありません。漆喰と異なり水に弱く汚れやすいことから、主に室内用として使われています。しかし、塗り壁のなかでも性能が抜群に高いのが珪藻土です。

調湿性:室内が乾燥すると水分を出し、湿気がこもると水分を吸収します
結露防止:水分吸収するため壁や窓の結露を防ぎます
消臭効果:空気に含まれた悪臭を吸い取ります
デザイン性:校倉(ボーダー調)や藁入りの珪藻土など仕上がりは様々です。

たとえば、こちらの廊下は、壁にグレーの珪藻土を塗りました。櫛引き仕上げで横のラインを鮮明に描き、視界を奥へと導くように。片面の壁のみ左官仕上げで、その壁に寄せてダウンライトを設け、珪藻土のテクスチャーを強調。

珪藻土の左官仕上げの壁が主役となる廊下です。

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〈左官仕上げ材料3〉スイス生まれの漆喰(カルクウォール)

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同じ漆喰でも、日本の漆喰とスイス漆喰はテクスチャーがまったく異なります。

スイス漆喰は、その名のとおりヨーロッパで3000年以上も前から使われてきた伝統的な塗り壁です。日本の漆喰はフラットに仕上がるのに対し、こちらはテクスチャーがはっきりとあらわれる仕上がりに。壁の存在感をしっかりと強調します。

こちらのお住まいは、リノベーションで壁と天井にスイス漆喰を塗りました。真っ白な壁に光があたると、礼拝堂のように荘厳で包み込むような優しさが生まれます。スイス漆喰であえて壁の存在を強調し、異国情緒をたのしんでみてはいかがでしょう。

〈左官仕上げ材料4〉海を感じるイタリアンスタッコ

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イタリアンスタッコとは、イタリアの漆喰のこと。ベネチア共和国時代に生まれたことから”ベテチアート”と呼ばれることもあります。当時も大理石が高価だったことから、その大理石に少しでも近づけるようにつくられた漆喰です。

成分は石灰と大理石のパウダー、そして顔料。日本の漆喰よりも強い光沢を持たせることができます。

こちらは、リノベーションで天井をイタリアンスタッコの左官仕上げにした事例です。パール感のある上品な天井には、窓の外の海が映り込むようです。静かに波の音に耳を傾けたくなるような、幻想的な空間が誕生しました。

〈左官仕上げ材料5〉存在感があるモルタル

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モルタルはセメントと砂を混ぜたものです。

コンクリートとの違いを聞かれることがありますが、モルタルにはコンクリートのような砂利が加えられておらず、磨くと滑らかな質感に。リノベーションでは、無骨だけど上品なテイストを演出したい時に使われます。

たとえばこちらは、壁にモルタルを左官で塗りました。右手の壁は、黒いモルタルに白いモルタルを重ねてクールなムラ感を。正面のキッチンカウンターの壁は、亜麻色のモルタルに白いモルタルを重ねてやわらかなイメージに。

左官職人さんの腕が問われる仕上げですので、ぜひ熟練した方にお願いしましょう。

まとめ

左官仕上げによる塗り壁の魅力をご紹介しました。

今回ご紹介したも素材の他にも、土壁や砂壁、プラスターなどさまざまなマテリアルがあり、風合いはまったく異なります。

また、たっぷりとコテ跡を残しながら塗るか、コテで押さえてフラットに仕上げるか。仕上げ方によっても印象はさまざまです。

一面の壁を左官で仕上げるだけでも、空間の雰囲気はぐっと変わります。暮らす人の好みによって、いかようにも趣を変えるのが左官仕上げの醍醐味。リノベーションで取り入れてみてはいかがでしょうか。

中野 瀬里乃

<著者>中野 瀬里乃

大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。

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